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レポート
第26回/第27回/第28回ワークショップ 【電子オルガン部会】

 「日本音楽舞踊会議」と「全日本電子楽器教育研究会・電子オルガン部会」の主催による“ワークショップ&コンサート”が3夜にわたり、エレクトーンシティ渋谷で開催された。
 それぞれテーマを、電子オルガンによる(1)オリジナル作品、(2)オーケストラ作品、(3)歌曲・オペラとし、前半をパネルディスカッション、後半をコンサートという形で行われた。以下、その3夜を紹介する。

第26回ワークショップ


【日 時】 1999年9月22日(水) 18:00〜
【テーマ】 “エレクトーンのためのオリジナル作品を考える”
  パネリスト 菊地雅春、中島洋一、福地奈津子、阿方俊
  コーディネーター 助川敏弥
【コンサート】 《COMPOSITIONS '99》
〜エレクトーンのための新作〜
 浅香 満 「プレリュード」
EL-900 星山明子
 木幡由美子 「エレクトーンのための《INVOCATION》」
EL-900 柴田 薫
 福地奈津子 「囚われのない目」
EL-900 福地奈津子
 中島洋一 「Elec. and Elec:霧の歌」
EL-900 唐木 忍
 松宮 敬 「Rhapsody〜G.ガーシュインへのオマージュ」
EL-900 桑原哲章
 菊地雅春 「電子オルガンのための“Last!”」
EL-900 赤塚博美

 日本音楽舞踊会議・作曲部会が毎年“エレクトーンのための新作”を発表して10年が経つ。その作品数も46曲にのぼる。ワークショップでは、主に作曲家の立場からエレクトーンの持つべき独自の音色について語られ、メーカーに対する希望も出された。コンサートでは6人の作曲家による新曲が演奏され、それぞれ電子楽器の機能・音色を生かした個性ある作品が披露された。
 始めに、司会の助川敏弥氏から「歴史を振り返ると、時代の要請に従って楽器が登場してきた。楽器がよくなっていくためには、メーカーの技術側と、作曲するアーティスト側と、間接的には聴いていただく観客側と、それぞれの共同作業で実現されていくので、コンサートの前にその議論の場を持つことは大変大事に考えている」と、この企画の意味合いが話されスタートした。
 菊地氏は「最近10年間は電子オルガンの曲をしきりに書いているが、サンプリング音源がほとんどで、肝心の生粋の電子音源が非常に少ない」と、楽器の存在理由を示す固有の音源、創作意欲をかき立てる音源の必要性を強調。中島氏はコンピュータを中心にした電子音楽を制作している側から、「昔に比べエレクトーンのクオリティは向上しているが、自由度がやや失われてないか。(サンプリング音源の)基本波形をスリムにしてユーザーが作れるようにすると表現力が増すと思う」と提案された。
 メーカー側として長年エレクトーン音楽に関わってきた阿方氏は「音を作ることはシンセサイザーで十分できたが、あまりにエネルギーがかかりすぎる。エレクトーンはライブ性を主眼においている」と説明があり、また、自作自演で作品を発表している福地氏からは「電子オルガンのいいところはリアルタイム性で、生で演奏表現するにはいい楽器だが、イメージする音が見つけにくい。オーケストラを一生懸命演奏することばかり考えて、電子オルガンの音色を忘れてきてしまっているのが残念」と、それぞれの立場から楽器の独自性、模倣性等、音色についての意見が交わされた。
 ここでの話は「作曲家の、クラシックの、先端的高度な要求」(助川氏)としながらも、電子オルガンがオーケストラサウンドの追究にとどまらず、楽器としてのあり方について、あるいは将来について、音楽家の立場からアカデミックな意見交換がされるのは貴重なことである。日本音楽舞踊会議のこうした活動には、これからも大きな期待がかかる。


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