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第27回ワークショップ


【日 時】 1999年9月24日(金) 18:00〜
【テーマ】 “エレクトーンのためのオーケストラ作品を考える”
  パネリスト 野口剛夫、橘 光一、中嶋克磨
  コーディネーター 阿方 俊
【コンサート】 《ブルックナー、エレクトーンと出会う》
〜エレクトーンのための新作〜
 A.ブルックナー 「交響曲第9番ニ短調」
 指 揮 野口剛夫
 EL-900 橘 光一、西山淑子、宮原佐智、森田紗織
 Perc. 沖 雄一

 第2夜の第27回ワークショップでは、ブルックナーの交響曲がとりあげられた。エレクトーン4台で全楽章を演奏してみようというこの企画は、音楽学者・指揮者である野口氏の意欲的な試みである。パネリストには野口氏をはじめ、演奏にあたった橘氏、また作曲家の立場から中嶋氏が参加した。
 野口氏は、「作曲者が当時、楽器の性能をはるかに越えた楽想を抱いていた場合、作品の本来的な姿が現代にして現れるのでは……」と語り、ブルックナーの作風に触れる。「オルガンの名手であったにもかかわらず、オルガンの作品は少ない。オーケストラにこだわったその音楽であるが、相当に変わったものである」と言い、たとえば、「同じ音が数十小節も切れ目なく持続する」「同じ音型の飽くなき繰り返し」「頻出する全楽器によるユニゾン」「一つの作品に無節操とも言える異稿が存在する」等を指摘し、「ひょっとしてブルックナーは、オーケストラとオルガンの長所を合わせ持つ楽器、たとえばエレクトーンのような楽器を欲していたのではなかろうか」と推察し、「オーケストラのために書かれた作品をエレクトーンで演奏するからには、エレクトーンでなければできないことに意義がなければならない」と、今回のチャレンジについてその意図を語った。
 中嶋氏は、「こうした試みをするには、近・現代の作品を推す」として、ガーシュイン、リムスキーコルサコフ、ムソルグスキー、ハチャトリアン、ホルスト、ストラビンスキー等の名を挙げたが、同時に「これらの作品は著作権、編曲権の管理がうるさく、編曲演奏の許諾が下りないことが多い」と、編曲演奏の難しさを指摘した。
 橘氏は、「管楽器や弦楽器の延々とのびる音に対し、オルガン的な音色を使った方が迫力もあり、合うかなと思うが、ただのばしているだけでは機械的な響きとなり、それをどう人間的に表情をつけて聴かせるか……」と音色の組み合わせの難しさ、演奏の難しさを課題とした。
 オーケストラ作品をエレクトーンで演奏した場合、「代替楽器」ではないかとの評が多い(それはまた一つの意味を持つが)。「楽譜を通して、当時の楽器法の枠を越えたいと願うようなことが強く感じられたとき、現代の技術的な進歩によって、それがようやく殻を破って外に出てくるのではないかと期待される」と言う野口氏の言葉に、スコアを読むおもしろさ、また、エレクトーンの世界の広がりが感じられるワークショップとコンサートとなった。
 なお、このコンサートはCD化され販売されている。


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