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レポート  第31回ワークショップ 【コンピュータ部会】

【日 時】
2000年3月25日(土) 13:30〜16:30
【会 場】 エレクトーンシティ渋谷・メインスタジオ
【主 催】 全日本電子楽器教育研究会・コンピュータ部会    
【テーマ】 “「総合的な学習の時間」と音楽”
<音楽科における「総合的な学習の時間」との関連と応用>
〜コンピュータの活用による音楽活動を中心とする事例の紹介〜

 今回のワークショップは、新学習指導要領改訂による教育課程改革に先立って、本年4月より前倒しで実施されることになった「総合的な学習の時間」に焦点をあて、2部構成で開催された。テーマの設定がタイムリーな話題だったためか、例年にも増して小学校・中学校の現場教員を中心に多数の参加があり、今回の教育改革の目玉的存在である「総合的な学習の時間」への関心の高さがうかがえた。
 まず、前半のソフトプレゼンテーションでは、古山俊一推進委員(尚美学園大学)より、「総合的な学習の時間」の活動に役立つと思われる、鍵盤・五線・音符等、従来音楽に馴染みの深い“インターフェイス”を伴わずに直感的な操作で多彩な音楽表現を可能にするソフトが紹介された。
 最初に紹介された「Koan Pro」(アイズ)と「M」(アイズ)は、グラフフィカルかつロジカルなパラメータを操作しながら各種データ(ピッチ・ベロシティ・タイミング等)を変更し、“ジェネレーティブミュージック”を制作できるソフトである。単なる音列や断片に過ぎないモチーフが、古山氏によって様々な加工を経て、見事な音楽へと変容していく様が紹介された。

 また、DJジョッキー風の雰囲気の作品を簡単に表現できる「motiondive 2J」(デジタルステージ)や「RC FUSE」(FUSE)は、これまで大掛かりなシステムでないと表現できなかった映像と音楽がシンクロするパフォーマンスが、手持ちのコンピュータで手軽にかつ低価格で表現できることから、今後大いに注目されていくことだろう。その他、画像をマウスでなぞるとMIDIデータに変換する「Color Music」(フリーウェア)や、書籍・CDによる『モーツァルト全集』をCD-ROM1枚にコンパクトにまとめ、調べ学習に最適な「モーツァルトアーカイブ」(小学館)等も紹介された。
 これらのソフトは、知的好奇心を刺激するため、これまで音楽が苦手で消極的な子どもたちでも多彩な表現を可能にする道具として導入してみる価値がある、またインターネットで検索することで、様々な情報が得られるのでぜひ試してもらいたい、との締めくくりでデモを終えた。

 後半のパネルディスカッションでは、北山敦康推進委員(静岡大学)がコメンテーターとなり、パネリストの谷中優氏(音楽教育・作曲)、小林田鶴子氏(音楽教育研究)、若尾裕推進委員(広島大学)、木村次宏推進委員(福岡教育大学)によって展開された。以下はその要旨である。

●北山推進委員:学校教育にコンピュータが導入されて久しく、各教科でその活用が研究・実践されているが、最もよく使われているのは社会科・理科・技術家庭科等で、音楽科は教師自身の使用頻度が極めて高いにもかかわらず、教科の学習活動ではふだんあまり使われていない。その理由として、本来音楽は情報伝達・表現をプラス要素にして成立する営みであるが、コンピュータがその特徴・メリットを持つがために、まるで2つの磁石のプラス極同士のように、かえって相殺してしまうからではないだろうか。

●若尾推進委員:日本の教育の現状は、授業でコンピュータで使う必然性がなく、導入したのだからとにかく使うよう奨励されているにすぎない。また、コンピュータを道具として使う発想が欠如している。「総合的な学習の時間」は、本来人間が知識を得る上で学習の最も自然な姿であったが、これが導入されたことは、これまで教科によって知識が断片に切り離されて伝達され習得されてきてしまったことへの反省とも受け取れる。また、現代に生きる子ども達の時代背景とのギャップのある、学校における独特の音楽文化様式が打破されなくてはならない。音楽の習熟よりも「音楽をすることによってどのようなことが学べるのか」という発想の転換が必要である。

●谷中氏:1991年以来、コンピュータを教育活動に取り入れ、実践研究を重ねてきた。コンピュータ等電子楽器は多様な表現を可能にする便利な道具であり、新しい楽器であるが、指導者側に発想の転換が必要である。本来、音(Soundscape)は常に風景(landscape)と一緒にあったように、もともと現実生活の中では切り離すことのできないものであり、時間・空間・精神等、他の要素が複雑に絡み合って、大きな一つの現象を形成するわけだが、コンピュータを用いることによって、音のエリアから他のエリア(社会・図工等)との共存共


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